2017年 12月 01日
さあ、世界史を語ろう。第253回 軍事費調達。 |
世界恐慌によってアメリカ市場は購買力を失った。すると、アメリカ市場への輸出によって国内景気を維持していた国々は商品の輸出先がなくなることになる。アメリカへの輸出依存ということでは、イギリスもその仲間である。しかし、イギリスには連邦を構成する国家群があり、その中で互いの貿易関係を支え合うブロック経済をとることができた。その範囲は広大であり、世界貿易に与える影響は少なくない。
このような閉鎖的な貿易関係が生まれたとなると、アメリカ、イギリスなどの消費市場に依存せざるを得ない国々は、それぞれ自給自足で生存の道を模索せざるを得なくなる。政権の座についたヒトラーも、まずは、そうした方向で政策を進めざるを得ない。しかし、いったん政権の座につくと、ヒトラーの考えは飛躍したものとなる。自給自足のためには領土が必要である。領土は奪わない限り、増えない。増やすためには実力によるしかない。実力とは戦争である。戦争のためには軍備を拡張しなければならない。それには、資金が要る。資金はライヒスバンク(ドイツ銀行)にある。
しかし、戦争をするためなどという理由で総裁のシャハトは資金を融通などしない。そこで、騙さなければならない。その方法は、まず、政府保証会社発行の手形の引き受けを、ライヒスバンクに義務付ける法律の制定から始める。もちろん、引き受けた手形の償還は約束する。こうした準備を整えた上で、政府保証会社に軍需品を納入した業者は代金を手形で受け取り、ライヒシバンクで割り引いた上で現金を受け取る。国内景気も回復し、国家も軍需物資を調達できる。
これで、国家がライヒシバンクの引き受けた手形の償還に応ずれば、国家財政はうまく回転するわけであるが、国家には償還に応ずるほどの資金はない。国債の発行で賄えばよいが、それでは償還原資がなくなってしまう。にもかかわらず、国家は長期国債を発行して、ライヒシバンクをうろたえさせてしまう。結局、償還期限がきても手形は償還されず、ライヒシバンクは泣き寝入りをさせられることになる。
こうした詐欺的行為を弄してまで軍備を拡張し、国家の自給自足化を図ろうとしたヒトラーは、どうみても強引としかいいようがないであろう。そして、それだけ強引であれば、当然、国民の方も不安感を抱き、ナチス不支持を表明しなければならないはずであったろうに、現状の景気好転、失業からの脱出などという面を見せられれば、将来の不安に気づくこともなくなる、その盲目状態こそが、結局、ドイツを破局へと導くことになる。
このような閉鎖的な貿易関係が生まれたとなると、アメリカ、イギリスなどの消費市場に依存せざるを得ない国々は、それぞれ自給自足で生存の道を模索せざるを得なくなる。政権の座についたヒトラーも、まずは、そうした方向で政策を進めざるを得ない。しかし、いったん政権の座につくと、ヒトラーの考えは飛躍したものとなる。自給自足のためには領土が必要である。領土は奪わない限り、増えない。増やすためには実力によるしかない。実力とは戦争である。戦争のためには軍備を拡張しなければならない。それには、資金が要る。資金はライヒスバンク(ドイツ銀行)にある。
しかし、戦争をするためなどという理由で総裁のシャハトは資金を融通などしない。そこで、騙さなければならない。その方法は、まず、政府保証会社発行の手形の引き受けを、ライヒスバンクに義務付ける法律の制定から始める。もちろん、引き受けた手形の償還は約束する。こうした準備を整えた上で、政府保証会社に軍需品を納入した業者は代金を手形で受け取り、ライヒシバンクで割り引いた上で現金を受け取る。国内景気も回復し、国家も軍需物資を調達できる。
これで、国家がライヒシバンクの引き受けた手形の償還に応ずれば、国家財政はうまく回転するわけであるが、国家には償還に応ずるほどの資金はない。国債の発行で賄えばよいが、それでは償還原資がなくなってしまう。にもかかわらず、国家は長期国債を発行して、ライヒシバンクをうろたえさせてしまう。結局、償還期限がきても手形は償還されず、ライヒシバンクは泣き寝入りをさせられることになる。
こうした詐欺的行為を弄してまで軍備を拡張し、国家の自給自足化を図ろうとしたヒトラーは、どうみても強引としかいいようがないであろう。そして、それだけ強引であれば、当然、国民の方も不安感を抱き、ナチス不支持を表明しなければならないはずであったろうに、現状の景気好転、失業からの脱出などという面を見せられれば、将来の不安に気づくこともなくなる、その盲目状態こそが、結局、ドイツを破局へと導くことになる。
by milionpara39
| 2017-12-01 15:47
| 歴史分析
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