2026年 03月 28日
オイルショック再び |
原油の価格が高騰している。国民生活にもじわじわと影響が出でつつある。1973年10月のオイルショック、原油価格が4倍になり、右肩上がりの経済成長にブレーキがかかり、企業は対策に追われることになる。労務環境は一変しそれまで当然のこととされていたことが変更を余儀なくされる。中でも労働者にとって大きな問題は雇用に関する問題である。労働基準法20条は解雇に関する予告について定めている。この条文を使えば、事業主は余剰になった労働者をいつでも解雇することができる。しかし、それでは失業者が街にあふれることになり、治安上の問題が生じかねない。この場合、対策は本来、政府の責任であるが、それより前に救済に着手したのはむしろ司法ではなかったか。実際、このオイルショックを機会に司法は労働者保護に関する司法判断を次々に打ち出していくことになる。有期労働契約を何度も更新していると、期限の定めのない労働契約になるという判断、合理的、客観的な原因がなく、社会通念上是認できない解雇は無効であるという解雇権乱用法理の確立、そして整理解雇の4要件などという一つでも欠けると解雇を認めないという厳しい基準の設定を要求するなど労働者保護を徹底することになる。そこに、今回の原油価格の高騰という問題が再び、企業経営にのしかかってくることになったのであるから、企業はまたしても雇用問題について頭を悩ませねばならないことになる。1973年当時と比べ今、労務環境に関し大きく変わったのはAIの登場ではないか。人の代替機能を有するというのであるから、不要となる職種が数多く出てくることが既に予想される。事業主にとって労務コスト削減の誘惑にかられること疑いなしという事態ではないか。労働者保護の法規があるから大丈夫というのは過信に過ぎないかもしれない。有期労働に関しては更新手続きを厳密にし期限の定めのない労働契約に転換されるのを防ぐ対策を徹底しているし、解雇権乱用法理も社会通念次第で解釈が変わることを覚悟しなけねばならない。整理解雇の4要件もそもそも法規定ではないから厳密さを要求しても絶対大丈夫と言い切ることはできない。実際、回避努力など欠けても要件不備といえなくなっている。要するに、現状のままでは労働者に救済の道はないということになろうか。
by milionpara39
| 2026-03-28 12:55
| 労働法規を語る
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